season
「菜々子と大貴と一緒に、久しぶりに公園行ったあの日…。あの日に、先生と出会ったの。」
「え?」
それには、大貴も菜々子も驚いていた。
「私、二人が帰った後も公園に残ったでしょ?その時、ベンチの下に落ちてた携帯の持ち主が…先生だったの。」
「じゃあ夏海…先生って知らずに…?」
菜々子の問いかけに、コクンと頷く。
「お互い知ってるのは名前だけ。毎晩公園で話す仲になっても、それ以上は詮索しなかった。だから勝手に、私は先生を大学生だと、そして先生も私を大学生だと…思い込んでいた。」
何も知らなかったあの時は、本当に楽しかった。
「先生はすごく優しくて、すぐに惹かれそうになったけど…もう恋愛なんてしたくないって思ってたから、秋山先生の迎えを待ってるって、いかにも続いてるように嘘をついたの。前に好きだった人がいつか迎えに来てくれてるのを待ってるって。そしたら先生、俺も一緒に待つからって言ってくれた。」
大貴も菜々子も、驚いた表情のまま私を見つめる。
「その一言で気持ちがスーッとラクになったんだ。そんな風に言ってくれるんだ、この人って。それで、この人となら楽しく恋愛できるって思って付き合い始めた。逃げずに学校へ行こうって思えたのも彼のおかげ。だけど…」
「学校で、先生が先生だって…わかったんだ?」
菜々子はまるで自分のことのように、目に涙を浮かべながら聞いてくれてた。
「本当に驚いたし、ショックだった。だけど、私がまた恋愛しようって思えたのも、毎日楽しいし幸せだって思えたのも、秋山先生のことを吹っ切れたのも、学校に行けるようになったことも。全部全部、先生のおかげで乗り越えられたんだ。」
悲しみは、半分抱えてくれて…
幸せは二倍にしてくれる。
春馬くんは、そんな風に私と接してくれた。
「だから…先生は、何も悪くないの。これだけは…信じて…」
もう、ダメかもしれないけれど。
もう、この二人との友情は築いていけないかもしれないけれど。
春馬くんがどれだけ私の心の支えになってくれたか。
そのことだけは、どうしても二人に伝えたかった。