season
だけど、自分の気持ちは言わないって決めてる。
それはきっと、大貴も同じ。
私たちは3人仲良く幼なじみなんだから。
…一人でも欠けたら、そんなの“私たち”じゃなくなっちゃうもの。
「大貴もわかってるんじゃないの?最近の夏海が変わってきたこと。笑うこと忘れちゃったんじゃないかってくらい表情のなかった夏海が、あんなにも明るく笑うようになった。それは、あの先生のおかげなんだ……って。」
「それは……っ…」
大貴は優しいから。
本当は、心の奥底では受け入れてるはず。
だけど、夏海のことずっと好きだったから、受け入れ難いんだよね。
「ね、このままケンカしたままは嫌だな。ちゃんと、話し合おうよ。」
そんな私に、大貴は小さく頷いた。
そして、そのまま切なそうな表情で俯く大貴を見て、思ったの。
ちょっとだけ、夏海が羨ましいなって。
だって私の恋は…一生交わることがないから。
〜菜々子side end〜