僕らの命は 【 短編小説 】
⌜……むずかしい話だけど……とにかくにんげんが、ボクたちにとっては怖いものだってことは、わかりました⌟
いつもやんちゃなミケは、少しうつむいてそう言った。
クロさんの重い心情が、ミケにも伝わったのだろう。
⌜……ボクも、ちゃんと生きた「いのち」だってことをわかってもらえずに捨てられたんでしゅかね⌟
ミケが、気を落とすところを初めて見た。
クロさんの言葉は、同時に自分が「心無い人間」に出会っていたということを、思い知らされたようなものだったのかもしれない。
でも、クロさんはこう言った。
⌜……いや、殺されなかっただけマシだよ。人間にも、そうするしかない理由があるんだろう。傷つけることはせず手放す方を選んだんだ。不幸中の幸いってやつさ。⌟
僕は、そうは思わなかった。