僕らの命は 【 短編小説 】



⌜……でも、「どうなってもいい」って思ったから、その辺に簡単に捨てられるんだ。⌟




僕の口からは、勝手に言葉が放たれていた。




⌜シロ……⌟


⌜……結局、自分たちの都合のいいように解釈してるんだ。

僕たちが危険な目にさらされてもいいって思ってるから、安易に捨てることができるんだ。

外には危険がたくさんあることを、人間だって知ってるはず。

なのにそんなところに置いていくなんて、

「どうぞどうにでもしてください」って言ってるようなものじゃないか……

それの方が、よっぽど凶悪で残酷だ!⌟






捨てられた時の記憶がよみがえる。







僕は、ただ「捨てられただけ」。




それは、「命」も一緒に捨てられたのと同じだ。




体が傷つくことがなくても、心が傷ついていることに気づかれない。




『どうなってもいい』


『自分さえよければそれでいい』


『誰かが拾ってくれるだろう』


『動物だし本能で生きていけるだろう』


『なんとかなるだろう』




















そんなこと、どうして思える?




何を根拠に、そんなことを思えるんだ?




動物なら捨ててもいいのか?




僕たちをなんだと思ってる?




僕たちは生きてるんだぞ?




感情だってちゃんとあるんだ。




勝手に、自分のいいように解釈するな。




自分が納得できるように正当化するな。




人間の勝手な考えを、僕たちに押し付けるな。




僕たちは、「物」でも「おもちゃ」でもない!




人間の行いが、どれだけ僕たちを傷つけるか




どれだけ僕たちの全てを失うか




わからないだろう。











人間は





















残酷だ。




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