人工知能な女の子
本当つきな嘘つき
「あ、嘘つきさん。こんにちは。」


振り向いたセンカは僕にそう挨拶をした。


返す言葉に困っていると 彼女は「冗談ですよ。」と言った。気のせいだろうか、表情にこそ出ていなかったがそう言った彼女の声色はなんだか少し楽しげだった。


センカが冗談を言ったことは何度かあるがいずれも無表情で冷たく言い放つため、いかんせん分かりづらい。


「まあ、いいです。教材の片付けを手伝ってくれるんでしたっけ。好感度アップを狙ってですか？」

教卓においてある教材をまとめながら、彼女は訊ねる。

「どのタイミングで話しかけようか迷ってたらちょうど手伝えそうな事があったからさ…。でも昨日の事があったし、正直そうなのかもしれない。」


伏し目がちにそう答えると彼女は小さくため息をついて
「冗談に決まってるじゃないですか。本当に冗談が通じませんね。」と言った。


でも、彼女は続ける。
「今日は素直みたいですね。良きです。」

小さく笑ったセンカに心を奪われた。

その後センカと一緒に教材を準備室まで持っていった。笑った彼女をみるのは今回で二度目だった。こんなに素敵なのに笑わないのがもったいないとつくづく思う。


「ところでナルセさん。なぜ話しかけるタイミングを伺っていたんですか？」


準備室から教室に戻る時に思い出したように彼女は訊ねた。


すっかり忘れていた。本当にどうかしている。

「そうだった。実は一緒に帰ろうって誘おうと思ってて…。」


「あら、早いですね。もう少し時間がかかるものかと思っていましたが。分かりました。帰りましょう。」

驚くくらい簡単に一緒に帰る約束を取り付ける事ができた。


放課後に昇降口で、と約束をして
各々自分の席に戻った。
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