人工知能な女の子

ナルセのTake2

今回の下校も前回同様沈黙が続いていた。何だかんだ毎回センカが話し始めるキッカケを作ってくれていたから今日こそは僕から話しかけるべきだと考えていたし、なにより誘ったのは僕なんだから自身で場を盛り上げなければならないことは理解していた。


しかしどうやって話しかければ良いのだろうか。緊張して切り出し方が思い浮かばない。

「あの…」
センカが口を開いた。


「わー！待って待って！今日は僕から切り出させて！」
慌ててセンカの言葉を遮ると


「はあ…」
と気の抜けた返事が返ってきた。


「えっとですね…。もしよかったら僕と遊びに行きませんか？」
意を決してセンカを誘った。センカの答えを待つ。



「ええ、構いませんよ。」


「え！」
思わず声が出る。


「何を驚いているんですか？…まさか誘っておいてオッケーもらって驚いているんですか？」
呆れたような顔でセンカはこちらに問いかける。



「いや、そうじゃなくて前回のような押し問答があるのかなって思ってたから…。」
こちらは苦笑いしながらそう答えた。


「だって、ナルセさんの事ですからあの日からどうやって誘い直すかを考えてくれていたんでしょう？きっと私になんて言われても良いように。だから、あえて二つ返事で了承したんです。」
彼女は笑いながら言った。


「センカには敵わないな」


「スーパーAIですからね。」
彼女は得意げにそう言った。


その通りだと相槌を打った後一呼吸おいてぼくはセンカに話しかけた。

「改めて誘わせてもらってもいいかな。」
この問いかけに対してセンカは

「わかりました。せっかくですから考えてくれていた誘い文句も交えてお願いします。」
と答えてくれた。



「この前色々言ったけど、最初に言った『仲良くなりたい』が僕の中で全てなんだ。今日のためにもっとカッコいい言葉も探したんだけど、僕の語彙力だとこれが限界だった。でも仲良くなりたいっていうのは嘘じゃない。だから僕と遊びに行ってくれませんか？」

たどたどしかったうえに、格好悪い誘い文句だったけどセンカは最後まで黙って僕の方をみて聞いてくれていた。

「分かりました。ぜひよろしくお願いします。」

こうして彼女と遊ぶ約束を取り付けることができた。