人工知能な女の子
場所、理由
次の日
時間をみつけて昨日調べた結果をセンカに話すことにした。


「センカ、ちょっといいかな?」
自分の席に座っていたセンカに声をかけると彼女はいつものように「構いませんよ」と返してくれた。


「昨日家に帰ってから少し調べたからその話をしようと思って。あまり大きくないけど近いところに遊園地があるんだ。行き先はそこでどうかな。」


「それって丘之上ランドって名前の遊園地のことですか?」

教室でこういう話をするのは嫌がられるかもしれないと思ったが、そういう雰囲気はなくいつも通り応じてくれた。


「そうそう。よく知ってるね」
僕が感心していると


「私も色々調べたのですが、少し遠くにそこより規模の大きい遊園地があるんです。これは私たちの遊園地への印象を決定づけることになると思います。少し遠くても規模の大きいこちらの方がいいかなと思いまして。あ、迷惑でしたらごめんなさい。せっかくナルセさんが考えてきてくれたのに。」
センカが申し訳なさそうに言った。


「いや、全く迷惑なんかじゃないよ。むしろ調べてくれてありがとう。調べてくれたってことは少しは楽しみにしてるってこだよね?楽しみに思ってるのは僕だけだと思ってたから嬉しいよ。」

本当に、彼女なりに候補を考えてきてくれたことがただただ嬉しかった。


「楽しみじゃありません。ナルセさんはどうせ調べてこないと思ったから調べたんです。調べるなら言ってくださいよ、全く。」


彼女は小さくため息をついてそう言ったが、口ぶりに悪意はなく、むしろ少し優しく感じられた。

思わず笑ってしまうと、何笑ってるんですか。交通手段を調べるのはナルセさんの仕事ですからね。と言ってどこかに行ってしまった。

ここ最近彼女の言動が少しだけ丸くなった気がする。これは人工知能の学習の成果なのだろうか。
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