人工知能な女の子

不戦敗

この日からしばらくセンカと会話する機会が減った。僕らの学校は長期休暇が潰れてしまうほど赤点に対する補習が厳しいため、テスト勉強をないがしろにするわけにはいかないからだ。


センカをテスト勉強に誘おうか考えたが、1人の方が集中できるし、何より緊張して勉強どころではなくなりそうだから結局誘うことはなかった。


そこからあっという間に日は流れてテストが終わった。数日経って各教科でテスト返却が始まった。

結果から言えば赤点の教科は一つもなかった。むしろテスト勉強を1週間前に始めたとは思えないくらいの点数で誰かに自慢したかった。そこで久しぶりに一緒に帰ることになったセンカに自慢をすることにした。


「テストお疲れ様。初めてのテストだよね？」
そう投げかけると


「そうですね。編入試験を除けばですけど。」
こんな調子で会話が始まった。


「そうだ！テスト9教科の合計点数で勝負しようよ。負けた方が遊園地の日のお昼ご飯奢りで！」
とりとめのない会話でテストの話題にし、今思い立ったかのように点数の話を持ちかけた。


「そう言うって事はかなり自信があるんですね？でもやめておいた方がいいと思いますよ。」
いつもの面倒くさそうな表情をしながらセンカは答えた。


「うん、今回はかなり自信があるんだ。初めてセンカに勝てるかもしれないくらいに。」
自信満々にそう返すと


「…分かりました。でしたら勝負しましょう」
ため息をついてセンカが折れた。


じゃあ私から、とセンカは自分の点数を呟いた。
「900点でした。」



えっ。
僕の中で時が止まった。


「いやいや、冗談でしょ！いつもの。」
戸惑いつつ笑っていると


「こんな事で嘘ついてどうするんですか。個票と解答用紙どちらを見ます？」
彼女はカバンの中のファイルを取り出しながら僕にそう訊ねてきた。


彼女に個票を見せてもらうと本当に900点だった。こんなに気持ちのいい個票初めてみた。そしてこの瞬間僕の負けが決まった。



で、ナルセさんは…




参りました。




分かればいいんです。
ではナルセさん。お昼ご飯ご馳走になりますね。


期待と悲しみを週末に控えて、センカと別れた。