人工知能な女の子
出発
さらに日は流れて遊園地に行く日になった。始業前や放課後に決めるべきことはしっかり決めていたからそこに対する不安は一切なかった。
しかしにセンカと遊びに行けるという期待と、張り切りすぎて空回りしないかという不安が混ざって前日はなかなか寝付けなかった。
…とは言っても気付いたら眠っていたようで、休日は普段セットすることのないアラームが朝の訪れを告げていた。
僕は朝起きて一番に窓を開けて空を見上げた。文句なしの快晴だった。天気を確認した後、リビングでトーストと目玉焼きを食べ、身支度を整え始めた。
まずシャワーを浴びて、寝汗を流す。体を拭き、用意してあった服に着替える。そして髪をセットして、歯を磨いた。
今日の僕はすべての行動を無意識のうちにいつもより丁寧に行なっていた。
一通り身支度を整えた後、忘れ物がないかを確認して家を出た。待ち合わせ場所は駅前だ。
この時期でも朝方はそんなに暑くなくて、玉のような汗をかくということはなかった。
駅前に着いて辺りを見回したが、センカはまだ来ていないようだった。それもそのはずで時計を見ると集合時間の1時間前だった。流石に早く来すぎたと思ったが、今更帰ってもどうしようもないので近くの喫茶店で時間を潰すことにした。
30分ほど過ごした後再び駅前に戻ってセンカを待った。
携帯を使っていると、耳馴染みのある声が僕を呼んだ。顔を上げると馴染みのない女の子が立っていた。
あれ…と一瞬思ったが正面に立っていたのはセンカだった。
私服のセンカを見るのは初めてあった時以来だ。そのため違和感を感じ面識のない女の子に見えてしまったのだ。
ましてやセンカなら制服で来てもおかしくないと思っていたのでむしろ私服を着ていることにギャップがあった。
「おはようございます。早いですね、待たせてしまいましたか?」
「いや、今来たところだよ。センカだって15分前に着いてるじゃないか」
1時間も早く来て45分待ったよなんて言えるはずもないし、ちゃんと余裕を持って来てくれたことが嬉しかった。
「それなら良かったです。あれ、このくだり前もありましたよね?」
「あったあった、昇降口で待ち合わせしてた時に。」
そういって2人で笑っていた。
気付けば電車の発車5分前の時間になっていた。
「じゃあ行こうか」
センカに声をかけると彼女は
はい、よろしくお願いします。と小さく頭を下げた。
切符を買って乗り込んだ僕たちは景色を眺めながら電車に揺られていた。幸いなことに電車は混んでおらず、二人とも座ることができた。
電車からバスに乗り換えて目的地まで向かったのだが、どちらでも彼女は僕の隣に座っていた。
違うところに座るものだと思っていたのでバスに乗った時にセンカに「なんで一緒に遊びに行っているのに離れて座る必要があるんですか」と呆れられてしまった。それにナルセさんはすぐ迷子になりそうですからね。と笑っていた。
バスの中で迷子になるのは至難の技かもしれないが、これではどちらが監視役なのか分からない。
そんなやりとりをしているうちに目的地に到着した。バスを降り遊園地でフリーパスを購入した僕たちは開園を待っていた。
開園を待つ間、センカが電車とバスに乗ったのが初めてだった事や、僕のテストの結果など色々なことを話していた。
しばらくして開園を告げるアナウンスが流れた。
周りにいた大勢の人に流される形で僕とセンカは入場した。
この歳になって入場しただけでここまでワクワクするとは思っていなかった。そしてセンカも心なしか楽しそうだった。
「ついに来ましたね」
辺りを見渡しながらセンカが言った。
そうだね、そう答えると彼女は「いい思い出作りましょうね」と僕の方を振り返った。
いい思い出…小さな声で繰り返した。
僕にとっても、センカにとってもいい思い出として残るそんな一日にしようと決心した。
しかしにセンカと遊びに行けるという期待と、張り切りすぎて空回りしないかという不安が混ざって前日はなかなか寝付けなかった。
…とは言っても気付いたら眠っていたようで、休日は普段セットすることのないアラームが朝の訪れを告げていた。
僕は朝起きて一番に窓を開けて空を見上げた。文句なしの快晴だった。天気を確認した後、リビングでトーストと目玉焼きを食べ、身支度を整え始めた。
まずシャワーを浴びて、寝汗を流す。体を拭き、用意してあった服に着替える。そして髪をセットして、歯を磨いた。
今日の僕はすべての行動を無意識のうちにいつもより丁寧に行なっていた。
一通り身支度を整えた後、忘れ物がないかを確認して家を出た。待ち合わせ場所は駅前だ。
この時期でも朝方はそんなに暑くなくて、玉のような汗をかくということはなかった。
駅前に着いて辺りを見回したが、センカはまだ来ていないようだった。それもそのはずで時計を見ると集合時間の1時間前だった。流石に早く来すぎたと思ったが、今更帰ってもどうしようもないので近くの喫茶店で時間を潰すことにした。
30分ほど過ごした後再び駅前に戻ってセンカを待った。
携帯を使っていると、耳馴染みのある声が僕を呼んだ。顔を上げると馴染みのない女の子が立っていた。
あれ…と一瞬思ったが正面に立っていたのはセンカだった。
私服のセンカを見るのは初めてあった時以来だ。そのため違和感を感じ面識のない女の子に見えてしまったのだ。
ましてやセンカなら制服で来てもおかしくないと思っていたのでむしろ私服を着ていることにギャップがあった。
「おはようございます。早いですね、待たせてしまいましたか?」
「いや、今来たところだよ。センカだって15分前に着いてるじゃないか」
1時間も早く来て45分待ったよなんて言えるはずもないし、ちゃんと余裕を持って来てくれたことが嬉しかった。
「それなら良かったです。あれ、このくだり前もありましたよね?」
「あったあった、昇降口で待ち合わせしてた時に。」
そういって2人で笑っていた。
気付けば電車の発車5分前の時間になっていた。
「じゃあ行こうか」
センカに声をかけると彼女は
はい、よろしくお願いします。と小さく頭を下げた。
切符を買って乗り込んだ僕たちは景色を眺めながら電車に揺られていた。幸いなことに電車は混んでおらず、二人とも座ることができた。
電車からバスに乗り換えて目的地まで向かったのだが、どちらでも彼女は僕の隣に座っていた。
違うところに座るものだと思っていたのでバスに乗った時にセンカに「なんで一緒に遊びに行っているのに離れて座る必要があるんですか」と呆れられてしまった。それにナルセさんはすぐ迷子になりそうですからね。と笑っていた。
バスの中で迷子になるのは至難の技かもしれないが、これではどちらが監視役なのか分からない。
そんなやりとりをしているうちに目的地に到着した。バスを降り遊園地でフリーパスを購入した僕たちは開園を待っていた。
開園を待つ間、センカが電車とバスに乗ったのが初めてだった事や、僕のテストの結果など色々なことを話していた。
しばらくして開園を告げるアナウンスが流れた。
周りにいた大勢の人に流される形で僕とセンカは入場した。
この歳になって入場しただけでここまでワクワクするとは思っていなかった。そしてセンカも心なしか楽しそうだった。
「ついに来ましたね」
辺りを見渡しながらセンカが言った。
そうだね、そう答えると彼女は「いい思い出作りましょうね」と僕の方を振り返った。
いい思い出…小さな声で繰り返した。
僕にとっても、センカにとってもいい思い出として残るそんな一日にしようと決心した。