人工知能な女の子

いつもより早い朝

思い立ったと同時に僕はある事に気がつく。

彼女が僕に怒っている可能性だ。
考えてみてほしい。お世辞にも仲が良いとは言えない間柄の人にいきなり「笑えないの?」なんて言われた上に自分の考えを頭ごなしに否定されて怒らない人がいるのだろうか?

もう少し上手い言い回しがあっただろう。まだろくに話した事もないのに、きっと嫌われてしまった。


さっきまでの熱が消えていき、申し訳なさが大きくなっていくのを感じる。そこから何の意味もなさない一人大反省会が始まった。

—ふと部屋の外を見るとすっかり日が落ちていた。反省会は一旦中止にして 晩御飯を食べ、風呂に入り、歯を磨いて、布団に潜り、携帯をいじる。しばらく経って さて寝ようと携帯を枕元に置いた時、

「あ。」

思わず呟いた。
何かをしているうちはいいのだが、ふとした時に思い出してしまう。誰もがそんな経験をしたことがあるだろう。

反省会をしていたことを思い出したのだ。もう十分過ぎるくらい振り返ったから 寝よう と思っても悶々としてしまい、ろくに寝付けずそのまま朝を迎えた。

こういう夜を過ごした日の朝が1番眠たい。だったら徹夜した方がまだ眠気を感じずにその日を過ごせる気がする。


後悔したって夜に戻れるわけではないし、しょうがないと割り切って支度を始めた。支度が終わり時計に目をやると普段家を出る時間よりだいぶ早い時間だった。

今日はもう学校へ行く事にした。家にいてもすることがないのが理由なんだけど、何故だか今日は早く行くべきな気がしたんだ。

いつもは遅刻ギリギリで走って学校に行くせいで景色をよく見ることはないんだけど、非常に眠たいことを除けば今日の僕には余裕があった。
いつもより少しだけ静かな通り道。

たまにはこんな日も悪くない。
そんな事を思っているうちに学校に着いた。教室の扉を開けると誰もおらず僕が1番だった。
というわけではなかった。

1人僕より早くきていた人がいた。
右端前か。あの席は確か…。誰の席か考える。


…帰ろうかな。


そんな事を考える。
僕は後ろの扉から入ったため、彼女は誰が入ってきたか分かっていないはずだ。

教室から出ようとした時、彼女がこちらを振り向いた。
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