人工知能な女の子

ナルセの誤算

「なぜです？」
彼女はしばらく考えてから言った。


それは…。こちらが口ごもるとセンカは追い討ちをかけるように続けた。

「これも最初にお伝えしたはずだと思うんですけど、私に娯楽は必要ありません。私に必要なものは学習と成長です。」

この時僕はそのことを完全に忘れていた。
そんなことも忘れて僕はのんきセンカをどうやって誘って、どこに連れて行こうなんて考えていて、断られる可能性なんて微塵も考えていなかった。


でもここで諦めるわけにはいかなかった。
「遊びに行くことだって勉強になると思わない？」

そんな言葉が口を突いて出た。


彼女は首を傾げた後、続けてください。と言った。

「百聞は一見にしかずって言葉があるように、遊びに行った先で絶対新しい発見があると思うんだ。付き添い役として僕もついていくよ。」

ぽっと出た言葉にしては我ながらなかなか説得力がある気がする。


「なるほど、確かにそうかもしれませんね。面白い考え方だと思います。」

うまくいった！心の中でそう思った。



それに…。彼女は続ける。
「今考えた嘘でここまで言えるのは本当に凄いと思います。ですがナルセさん、嘘が通じる相手かどうかも考えて話すべきでしたね。本心を言えるようになったらまた一緒に帰りましょう。その時に改めて誘ってください。」

では、失礼します。
と、センカは去っていった。


本当に上手く言葉にできないんだけど、誤魔化そうとしたことが恥ずかしいとかどうこうじゃなくて、なぜだか彼女の言葉が衝撃的だった。


彼女の言葉が頭から離れず僕はしばらくその場から動くことができなかった。
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