Sweet moments ~甘いひと時~


そのまま車に颯爽と乗り込み去っていった。

車が見えなくなってから、頭を上げた。



「間宮様も今日は大変お騒がせ致しました。」

「まぁ、澤村君も少し酒にも蘭ちゃんにも酔ってしまったんじゃろう。蘭ちゃんは怖い思いをしたじゃろうな。」


後から出てきた間宮社長にまたオーナーが深く頭を下げながら、声をかけた。

「もっと早く気づいてあげられれば良かったのですが、駆けつけるのが遅くなってしまって。慌てて席に向かうと前園様がいらして驚きました。」


すると嬉しそうに笑う間宮社長。

「なぁに、自業自得じゃからな。元はと言えばあやつの所為だ。言葉足らずで蘭ちゃんを怖がらせて他の席に行かせてしもうたんじゃ。澤村君の席に向かう蘭ちゃんを切なそうに見ておったわい。気が気じゃなかったのじゃろう。話そっちのけで、ずっと見ておった。じゃから蘭ちゃんの異変にもいち早く気づいたんじゃ。」

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