Sweet moments ~甘いひと時~

これは自分の生き甲斐であり夢でもある。


甘い香りに包まれながらケーキを焼いて、お客様が嬉しそうにケーキを買ってくれたり幸せそうな顔でケーキを頬張っているのを見る事が本当に嬉しいのだ。


その幸せなお客様の顔を見るだけで、現実を忘れられる。

もしかしたら、これは現実から逃げているだけなのかもしれない。

でもそれでもいいと思っている。




イートインスペースから咳払いが聞こえて、自分の手が止まっている事に気付き慌てて苺のショートケーキを1つショーケースから取り出し、コーヒーと一緒に男性が待つの元へと小走りで駆け寄る。


「大変お待たせいたしました。」

「いいえ、、、ありがとうございます。」


相変わらず無表情のままコーヒーに口を付け、ケーキを口に運ぶ。


「ごゆっくりどうぞ。」

微笑みながら小さく頭を下げて戻った。
< 3 / 375 >

この作品をシェア

pagetop