殺人未遂
私はその後、あの男性への文句を並べながら、学校に行った。
学校に行くと、その嫌な思いは癒され、いつも通り笑顔でいられた。
そして朝のことを忘れ、家に帰った。
リビングでは、テレビニュースが流れている。
これは、うちの暗黙のルール。
夕飯時は絶対にニュース。
私が物心ついたときから、ずっとそう。
そのうち、全国ニュースから地方ニュースに切り替わる。
私は食卓につき、スマホを触りながらニュースを聞き流していた。
「今朝、五十代男性が道端でカッターで切りつけられる事件が発生しました。犯人は十八歳の男子高校生とのことです」
「怖いわねえ……未成年が殺人未遂だなんて」
お母さんの言葉で、なんとなくそのニュースに耳を傾けることにした。
「犯人は今のところ容疑を認めており、『ムカついたから殺そうと思った』と話しているようです」