バイバイ☆ダーリン 恋心編 番外編完結しました
─♢とかく浮世はままならぬ♢─
直ぐにお前を選ぶと言うべきなのかも知れないが、理人にとっては、家族も、この料亭も大切なものなのだ。
だから、優花にお前にすると言って、二人だけで何処かへ逃げるなんて出来っこないのは理人だって分かっている。
嗚呼、もう答えが出てしまったようだ。
それは優花も薄々感じ取っているはずであるが、理人は二人だけで話したいと皆に伝えて、家族が部屋から出て行った。
『ごめんな、優花…俺やっぱり、家族とここを捨てる訳にはいかないんだ。だから…』
『いいの。こっちこそ、申し訳ありませんでした。こちらのお仕事のお邪魔をしていただなんて、ごめんなさい』
途中で話を遮った優花は、先程家族に謝罪した時のように、再び畳に額を擦り付けた。
もういいんだ優花と、理人が優花の肩を抱き寄せて、眉間に皺を寄せて、今にも泣き出しそうな顔で言うのだった。
『本当に俺が悪かったんだ…今日のことも、あの時のことも…』
優花は首を横に振るだけだった。
二人はそこで別れ、見送ることも見送られることもない、多分これで会うこともないであろうこの時を、理人は自室に閉じ籠もり、優花は頬にひと筋の涙を流し、電車を待つ。
さようなら、好きだった人。
この二人がそれぞれ歳を重ねてから、何処かで偶然にすれ違って…なんてあるかも知れないけれど、今はまだ赦してはもらえないようだ。
だから、優花にお前にすると言って、二人だけで何処かへ逃げるなんて出来っこないのは理人だって分かっている。
嗚呼、もう答えが出てしまったようだ。
それは優花も薄々感じ取っているはずであるが、理人は二人だけで話したいと皆に伝えて、家族が部屋から出て行った。
『ごめんな、優花…俺やっぱり、家族とここを捨てる訳にはいかないんだ。だから…』
『いいの。こっちこそ、申し訳ありませんでした。こちらのお仕事のお邪魔をしていただなんて、ごめんなさい』
途中で話を遮った優花は、先程家族に謝罪した時のように、再び畳に額を擦り付けた。
もういいんだ優花と、理人が優花の肩を抱き寄せて、眉間に皺を寄せて、今にも泣き出しそうな顔で言うのだった。
『本当に俺が悪かったんだ…今日のことも、あの時のことも…』
優花は首を横に振るだけだった。
二人はそこで別れ、見送ることも見送られることもない、多分これで会うこともないであろうこの時を、理人は自室に閉じ籠もり、優花は頬にひと筋の涙を流し、電車を待つ。
さようなら、好きだった人。
この二人がそれぞれ歳を重ねてから、何処かで偶然にすれ違って…なんてあるかも知れないけれど、今はまだ赦してはもらえないようだ。