バイバイ☆ダーリン 恋心編  番外編完結しました
結局、母に来てもらうことになったのだが、やはりその男はコンビニの外で待っていて、母と少々揉めることとなった。

とにかく、弁護士を通してくれと、怒り心頭で男に食って掛かる母に、優花は申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

きっと父母と一緒に暮らしているうちは、あんな類の輩が、自分のしでかしてしまった過去の罪を見逃すまいと、何処までも追いかけて来るに違いない。

そう考えると、涙がポロポロ零れてきて泣き崩れていく優花を母は抱き抱える。

元を辿れば、優花の自業自得になるのだから、他人から見れば何を今さらと思うくらいだろうが、この家族にとっては事件当時も現在も変わらず、頭の痛い厄介なことなのだ。

父の帰宅後に、引っ越してはどうかと言う母に、どうだろうなとあまりいい顔をしない父。

日本にいるうちは、何処までもハイエナのように嗅ぎつける輩だから、何処に住んでも同じだろうと感じているようだ。

ウ~ンと唸り声を上げて考えるが、なかなか妙案は浮かばない。

いっそのこと、海外支社に転勤願を出そうかとも考えたのだが、確か、あの料亭の御曹司も、優花が脅していたあの女の子も、海外で暮らしているはずだ。

それで多度家まで海外に引っ越したら、何だか負けたような気分になると父が漏らすと、母が否定した。

負けるなど、そんなことはないけれど、優花の犯したことに対する償いを終えていないから、何年経ってもそんな輩に追いかけられるのではないかと、母が心の内を吐露する。

そうかも知れないと、夫婦揃って多度家はこれから何をすべきか、まだ未だに答は出ていない。
< 128 / 150 >

この作品をシェア

pagetop