バイバイ☆ダーリン 恋心編  番外編完結しました

(生徒指導の教師と優花のやりとり)


『多度さん(優花は多度優花(タドユウカ)と言う)、ある生徒があなたから強請り集りにあっていると訴えがあったのですが。

この事実関係はどうなっていますか?

取り敢えず、あなたの意見を疑いが晴れるように言いなさい。』

《やはり来たか…。フフフ。負けないから、透子…。首を洗って待ってなさいよ》

『先生には絶対に申し上げたくない事実があるのです…。これは、吉永さんの名誉に係わりますので…』

そう切り出した優花に、生徒指導の教師が尋ねる。

『何のことでしょう?あなた方には他に何かあるのですか?』

食い付いてきた教師に、さも思い悩んでいるような表情で、優花がことの発端を聞かれたから渋々話しているとでも言うように、教師から少し目線を外して思い出しながらと言う体で話し出す。

透子の万引き未遂の件から捕まえて改心させたとかの大立ち回りでもあったかのように言って、優花自身の手柄を主張する。

そして、透子の訴える強請り集りがあったのかと尋ねられると、優花は涙ながらに話し出した。

『あれは、吉永さんが万引きを未遂に防いでくれた御礼だと言ってくれたものです。幾つか貰いました。それに、友達になってくれた御礼だからって…』

やはり、貰ったモノは返しますと叫ぶ優花を落ち着かせるように言う。

『返す返さないは二人で話し合いなさい』

それからと、教師は優花にこの件については他言は無用だと言うこと、そして、受験に集中するように、最後に吉永さんのことを考えてくれたこと、彼女に代わって礼を言うと、生徒指導室を出て行った。

どうしてこんな優花に有利になる展開となったのか。

彼女は高校入学以来ずっと、成績優秀、品行方正と見せかけて過ごしており、教師からの信頼も厚い優花は大層気に入られている。

見た目も校則通りで野暮ったいのに、年上の教師達、特に女性教師に至っては、真面目でよろしいと受けが良いのだ。

そんなこんなで、この件は大人の事情によりうやむやにされ、徐々に、優花が透子を支配するようになっていった。













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