バイバイ☆ダーリン 恋心編  番外編完結しました
透子は絶望していた。

教師に優花からの強請り集りを訴えても信じてもらえず、逆に、自分の万引きの件を引き合いに出され、多度さんに感謝しなさいなどと言われる始末。

その後のことはお察しの通り。

他県の大学を希望していたはずの透子だったが、あれ以来、全てにおいて優花の言う成りで…。

これはとても恐ろしいことだが、もしかしたら、透子の意識下の何かをも優花が支配しているのかも知れない。

恐るべし優花。

末恐ろしい!美人で人を操る女なのか?

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透子のスマホが優花からの着信を知らせる。

『嗚呼、悪魔からの電話だ…。何でみんなは優花が悪いヤツだって分からないんだろう』

そうため息交じりで呟いてから出たが、優花はお怒りの様子。

『早く出なさいよ。本当にノロマなんだから』

優花の声は、理人やその他の男性と会話する時には高くて可愛らしい声色を使うのに、透子と話す時には随分低い。

『あなたが嵯峨野を突き落としたことを誰かに尋ねられても、私の名前は出さないでよ。例え私が言ったからって、それを実行したのは透子あなたなのよ。分かった?いいわね。』

いつものように、言いたいことだけ言って電話は一方的に切られる。

その途端、透子が息苦しさを覚えた。

万引きの現場を優花に見られて少ししてからと言うもの、透子は彼女に何か言われる度に、息がうまく出来なくなるのだ。

何だか物凄い重量のモノが透子の胸に押しつけられているような、そんな圧迫感のようなものを感じていた。

《早く開放されたい。早く早く》

と叫びたいと、透子の心が訴える。








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