バイバイ☆ダーリン 恋心編  番外編完結しました
透子のスマホが再び鳴る。

また悪魔からの電話かと身構えるが、それは知らない番号からのもので、出ようかどうしようか迷った。

しかし、透子はどんな用件なのか気になって、思い切って出てみることにした。

『はい。どなたですか?』

恐る恐る尋ねると、君は吉永透子さんだねと確認される。

ハイそうですと答えると、その人が嵯峨野花音の兄だと名乗った。

透子が花音に怪我を負わせた例の件で、彼女の兄が動き出したのだと知る。

嵯峨野悠輝(サガノハルキ)は、花音の兄であり、あの嵯峨野商事の跡取りの男だ。

そんな大企業の御曹司から怒りを買った者は、もう立ち直れなくなるくらいの打撃を与えられてしまうと、まことしやかに囁かれている。

でもこれまでは、ただの妹が大好きな優しい兄だと言うだけで、可愛い妹に近付く男達をあらゆる手と金を使い、撃退していたのであるのだが…。

しかし、今回の透子が花音にしたことは、悠輝を怒らせるには充分すぎたようだ。

いずれは、嵯峨野商事の未来を背負って立つそんな男を敵に回して、自分は何と愚かな女なのだろうと、透子は今更ながら思い知る。

『直接話をさせてくれ』

悠輝は透子に有無を言わせず、会う約束を取り付けた。





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