バイバイ☆ダーリン 恋心編 番外編完結しました

『悠輝、悪かったな。こいつらには慰謝料払わせるから、警察沙汰にはしないでくれよ。こんな女達のせいで、ウチの料亭に変な噂が立ったりしたら困るんだ』

じゃあ頼んだぞと言って部室を出ようとしている理人に、悠輝は怒りを露わにした｡

『お前はいつからそんな奴になったんだ。そもそも、花音と言う許婚がいながら、アチコチの女に手出しやがって…』

興奮状態の悠輝をなだめるように、桜子が彼に抱き着いて、分かったから、落ち着いてと囁く。

徐々に落ち着きを取り戻した悠輝は

『理人、お前は人間として最低な奴だと俺は思う。だからこれを機に、お前と花音の婚約を破棄させてもらうからそのつもりで』

と理人に言い渡した。

それを聞いた理人が血相を変えてドアの辺りから舞い戻る。

『何を訳の分からないことを…。これっぽっちのことで、どうのこうの言うな。婚約のことは親同士が決めたことだ。こっちだって仕方なく受け入れたんだ』

とうとう怒りが頂点に達した悠輝は、理人に最後通牒をつきつけた｡

『もう全部お終いだ。お前との友人関係も、今日この時をもって全てな。それから、お前のところの親父さんやお袋さんには直接の恨みはないが、お前の女遊びを黙認している時点でお終いだ。だから、ウチの会社がお前の料亭を利用することは、今後一切ないと思え』

そう宣言した後、理人に出て行けと怒鳴る。

理人は顔を青くして、慌てて悠輝をなだめようとするが、

『これ以上怒らせるな』

と悠輝は背中を向けた。

そして一方の理人は、苦虫を噛み潰したような顔で、仕方なく部室から出て行く。

悠輝は桜子に、皆にお茶でも淹れてくれと頼む。

数分でお茶が配られたが、その間、話をする者はなかった。