バイバイ☆ダーリン 恋心編 番外編完結しました
桜子を自宅に送り届けてから、悠輝は花音と母の好きな苺のムースを買って帰ってきた。
こんなところも自分の兄ながら、さすがとしか言い様がない。
桜子が本当に羨ましいと、何度思ったことか…。
花音の許婚の理人は、花音を訪ねて来たことなど一度もないから、余計に桜子を羨んでいるのかも知れないなと、花音は心の中で笑う。
♢*♢*♢*♢*♢*♢*♢*♢*♢
嵯峨野の家は少々年代物の造りで、昭和初期に当時の当主が建てたものだ。
当時としては相当贅を尽くしたようだったが、今でも見学させて欲しいと、どこだかの建築学部の学生さんに頼まれることがある。
わざわざ訪ねてくれたのだからと、外観と庭で良ければどうぞと、祖父が案内していたな、と花音は今は亡き祖父母のことを思い出していた。
そう言えば、以前エレベーターを付ける付けないの話があったが、祖父母が続けて他界したことで、結局、要らないだろうと言う結論になったはずだ。
それでも、今現在怪我人の花音は、階段の上り下りが出来ないので、今日から何日かは1階の祖父母のものだった部屋を使うことになった。
何だか幼い頃の思い出が呼び起こされて、祖父母が近くにいてくれるような、そんな錯覚に陥って、大きなベッドに顔を埋め泣いていると、
『花音入るぞ』
と悠輝が入ってきた。
こんなところも自分の兄ながら、さすがとしか言い様がない。
桜子が本当に羨ましいと、何度思ったことか…。
花音の許婚の理人は、花音を訪ねて来たことなど一度もないから、余計に桜子を羨んでいるのかも知れないなと、花音は心の中で笑う。
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嵯峨野の家は少々年代物の造りで、昭和初期に当時の当主が建てたものだ。
当時としては相当贅を尽くしたようだったが、今でも見学させて欲しいと、どこだかの建築学部の学生さんに頼まれることがある。
わざわざ訪ねてくれたのだからと、外観と庭で良ければどうぞと、祖父が案内していたな、と花音は今は亡き祖父母のことを思い出していた。
そう言えば、以前エレベーターを付ける付けないの話があったが、祖父母が続けて他界したことで、結局、要らないだろうと言う結論になったはずだ。
それでも、今現在怪我人の花音は、階段の上り下りが出来ないので、今日から何日かは1階の祖父母のものだった部屋を使うことになった。
何だか幼い頃の思い出が呼び起こされて、祖父母が近くにいてくれるような、そんな錯覚に陥って、大きなベッドに顔を埋め泣いていると、
『花音入るぞ』
と悠輝が入ってきた。