バイバイ☆ダーリン 恋心編 番外編完結しました
『よお、許婚殿!』
驚いた花音は目を丸くして理人に尋ねた。
『朝早くから珍しい。あっ!お兄ちゃんに用なの?』
真顔でそう言う花音に、呆れたように答える。
『朝っぱらから野郎の顔なんか見たくもないね。たまには、お前と一緒に学校でも行こうと思ってな…』
そんな嬉しくて小躍りしたくなるような台詞を吐く理人が、堪らなく好きだと叫びたくなった花音だったが、彼の服装が昨日と同じであることに気が付いて、複雑な心境になってしまった。
《昨日のあの子とお泊まりしたのかな?やり切れないよ…》
心の中で呟いて思わず泣きそうになったが、婚約して5年、こんなことは日常茶飯事のことで、いちいちショックを受けていたらやってられないわよね…などと自分を叱咤して、理人に柔らかい笑顔を向ける。
『今日1限からなんだろ?急ぐぞ』
二人は車に乗り込んでシートベルトをする。
《運転している理人君も格好いいんだもの、反則よ…》
花音は理人を盗み見た。
『何だよ!何か顔に付いてるのか?』
《マズイわ。気付かれちゃった》
『何でもないの。でも、本当に珍しいこともあるものね。私を迎えに来てくれるなんて…』
少し嫌みだったかなと思わないでもないが、たまには言ってやるんだからと、笑顔で理人に聞く。
理人は別になんてことはないとでも言うように
『許婚殿をいつも放ってばかりいたからな。たまにはこれくらいしないとダメだと、親父に言われたんだ!』
などと、日頃は今カノの所に行ったきりで、許婚である花音のことなど無視でもしているかのような振る舞いなのに、父親に言われたからと花音のご機嫌伺いでもしているのだろ。
何ともやるせない思いを抱えたまま、婚約者同士がするであろう話など皆無で居たたまれなくなっていたら、無情にも車は大学に着いてしまった。
『理人君ありがとう』
と言い掛けたが、スマホの呼び出し音に阻まれたのだ。
ポケットに入っていたスマホを耳に当てると直ぐに、弾んだ声を発して
『ごめん、大事な電話だから、じゃあな』
と、まるで邪魔者を追い払うように、花音に手を振った。
『優花。どうかしたのか?声が聞きたくなった?さっき別れたばかりだろう…。まったく…優花は可愛いな』
何と甘い声で囁くだろう…と感心してしまう花音であった。
『優花って…。昨日のあの子だよね。私と同じ学部の…』
はあっとため息をついて、突然襲って来たのが虚無感。
無だ。
自分は理人にとって、どう言う存在なのだろうか…?
『あっ、授業に遅れちゃう!』
そう呟いて、講義室を目指して走っていた。
驚いた花音は目を丸くして理人に尋ねた。
『朝早くから珍しい。あっ!お兄ちゃんに用なの?』
真顔でそう言う花音に、呆れたように答える。
『朝っぱらから野郎の顔なんか見たくもないね。たまには、お前と一緒に学校でも行こうと思ってな…』
そんな嬉しくて小躍りしたくなるような台詞を吐く理人が、堪らなく好きだと叫びたくなった花音だったが、彼の服装が昨日と同じであることに気が付いて、複雑な心境になってしまった。
《昨日のあの子とお泊まりしたのかな?やり切れないよ…》
心の中で呟いて思わず泣きそうになったが、婚約して5年、こんなことは日常茶飯事のことで、いちいちショックを受けていたらやってられないわよね…などと自分を叱咤して、理人に柔らかい笑顔を向ける。
『今日1限からなんだろ?急ぐぞ』
二人は車に乗り込んでシートベルトをする。
《運転している理人君も格好いいんだもの、反則よ…》
花音は理人を盗み見た。
『何だよ!何か顔に付いてるのか?』
《マズイわ。気付かれちゃった》
『何でもないの。でも、本当に珍しいこともあるものね。私を迎えに来てくれるなんて…』
少し嫌みだったかなと思わないでもないが、たまには言ってやるんだからと、笑顔で理人に聞く。
理人は別になんてことはないとでも言うように
『許婚殿をいつも放ってばかりいたからな。たまにはこれくらいしないとダメだと、親父に言われたんだ!』
などと、日頃は今カノの所に行ったきりで、許婚である花音のことなど無視でもしているかのような振る舞いなのに、父親に言われたからと花音のご機嫌伺いでもしているのだろ。
何ともやるせない思いを抱えたまま、婚約者同士がするであろう話など皆無で居たたまれなくなっていたら、無情にも車は大学に着いてしまった。
『理人君ありがとう』
と言い掛けたが、スマホの呼び出し音に阻まれたのだ。
ポケットに入っていたスマホを耳に当てると直ぐに、弾んだ声を発して
『ごめん、大事な電話だから、じゃあな』
と、まるで邪魔者を追い払うように、花音に手を振った。
『優花。どうかしたのか?声が聞きたくなった?さっき別れたばかりだろう…。まったく…優花は可愛いな』
何と甘い声で囁くだろう…と感心してしまう花音であった。
『優花って…。昨日のあの子だよね。私と同じ学部の…』
はあっとため息をついて、突然襲って来たのが虚無感。
無だ。
自分は理人にとって、どう言う存在なのだろうか…?
『あっ、授業に遅れちゃう!』
そう呟いて、講義室を目指して走っていた。