バイバイ☆ダーリン 恋心編  番外編完結しました
悠輝とその正面の席に座る男は、二人でボソボソ何かを話しているのが聞こえるが、何についての話題なのかは見当もつかなくて、耳をそばだてる面々。

大学近くのごく一般的な喫茶店と呼ばれる、ちょっと昭和を感じるレトロなこの店は、先程から悠輝達の話を盗み聞き中の常連客4人がコーヒーのお供に冷や奴やポテチ?を食べており、オイオイ、どこの家だよと突っ込みたくなるような雰囲気満載である。

そんな店に不釣り合いな若いイケメンが二人、先程から何やら密談中だ。

『国府宮、その後どうだ?花音は上手く出来ているのか?』

『勿論です。誰にでも優しい微笑みで、言うことなしっす、ウシシシシ』

悠輝は突然口をつぐんでしまった。

『あれ?先輩どうかしましたか?』

『…皆に笑顔など振りまくなんて…もう辞めさせる』

エエエエ!と叫んだ昴に、今度は聞き耳を立てていたその店の常連客が驚いて、エエエエ!と叫んでしまった。

皆一様に気まずそうな表情で、何事もなかったかのようにしているのが可笑しくて、店のマスターが、咳払いをひとつ。

そこで我に帰った悠輝が昴に尋ねた。

『ま、まあ、それは良いとして、花音に言い寄る輩はいないだろうな』

『はい勿論です、先輩。例え誰かが行動に起こしても、俺がやっつけます(自分のためにですが…)』

まさか言い寄るつもりのあることなど言えるはずもなく、昴は誤魔化すようにハハハと笑い声を立てる。

『国府宮、頼んだぞ!花音を守ってやってくれ』

『お任せ下さい、お兄様』

悠輝はお兄様?と言われて少し引っ掛かったが、まあいいかと花音につく悪い虫を、片っ端から退治している図を思い浮かべて、意外に美味しいコーヒーをひとくちずつ上品に飲んだ。


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