バイバイ☆ダーリン 恋心編  番外編完結しました
昴が部活で散々な目に遭ったその日は、バイトもなくて、花音とこっそりデートの約束をしている。

*******************

昨日は悠輝にこってり絞られて大変だったが、花音と付き合うためなら我慢できるとばかりに、昴は悠輝の嫌がらせ攻撃にも耐え抜いた。

嫌がらせ攻撃とは…アイスコーヒーだと出された茶色の美味しそうに見える、高級なグラスに注がれた液体を飲んで、醤油入ってるじゃんとは言わずに『お、美味しい…ですね…この…コーヒー…』
と細切れに話す昴を、ニヤリと笑顔で見下ろす悠輝に、文句など言えるはずもなく、良く頑張った~。

嫌がらせ攻撃はまだ続く。

夕食を一緒にいかが?と花音から誘われて、天にも昇る気持ちでいたら、お手伝いさんが告げる。
『今夜はサーロインステーキ山葵醤油ソースでございます』

オオ~と、美味しそうに焼き上げられたスーテキ肉が、じゅうじゅう音を立ててよだれが出そうになっていると、わざわざ悠輝がそのソースをかけてくれて、さあ召し上がれ!と昴に言う。

お言葉に甘えて頂きますと、行儀良く食べ始めると、突然、昴がげほっげほっ、ごほっごほっと咽せてしまった。

『おや、国府宮君、どうしたのかな?』

またまたニヤリと笑う悠輝に、イヤイヤ、とてもお上品なお味でとても美味しゅうございます?と訳の分からないことを言う昴。

そこでハタと気付いた花音が、
『お兄ちゃん、何か入れたのね?』
そう言うと、昴のステーキにかけたソースを少し味見する。
そうしたら、山葵が多過ぎで、彼女までもがげほっげほっと咳き込んで、悠輝は花音からお灸を据えられるのだった。

まあ、それを嬉しそうにされるがままになっている兄は、どうかしていると、昴が思ったなんて、一生口が裂けても言えない…。

ちなみに、花音からのそのお灸とは、デコピンなのだが。

< 83 / 150 >

この作品をシェア

pagetop