Love palette
見事に玉砕してから2年後の夏。
「先輩お久しぶりです。俺、ついに先輩の年を越しましたよ。約束通り、付き合ってもらえますよね?」
答えが返ってこないことを分かっていながら先輩に話しかける。
生温い風が吹きバニラのような甘ったるい香りが鼻を掠めた。
「…っ!」
キョロキョロと周囲を見渡すが先輩の姿はどこにもない。
「気のせい…だよな……」
チクッとする胸の痛みに蓋をして先輩に微笑みかける。
「さようなら。また来ますね」
俺は先輩が好きだった一輪のひまわりを墓に手向けると、静かにその場を去った。