Love palette



見事に玉砕してから2年後の夏。


「先輩お久しぶりです。俺、ついに先輩の年を越しましたよ。約束通り、付き合ってもらえますよね?」


答えが返ってこないことを分かっていながら先輩に話しかける。



生温い風が吹きバニラのような甘ったるい香りが鼻を掠めた。



「…っ!」



キョロキョロと周囲を見渡すが先輩の姿はどこにもない。




「気のせい…だよな……」


チクッとする胸の痛みに蓋をして先輩に微笑みかける。


「さようなら。また来ますね」


俺は先輩が好きだった一輪のひまわりを墓に手向けると、静かにその場を去った。


< 26 / 77 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop