Love palette
女子に送ってもらうのはどうかと思うが俺は彼女の厚意に甘えることにした。
俺と彼女の間に会話はなく、ただ雨が地に叩きつけられる音が聞こえるだけだった。
チラリと横を見ると長いまつ毛はクルッと音が付くのではないかと思うほど綺麗な逆アーチが描かれ、瞼にはピンクのラメがついたアイシャドウ、着色されたピンクの頰。
……コンプレックスって知ってるのかな。
何でこんな子が俺に声をかけてくれたのだろうか、いくら考えても分からない。
家まであと数分と言うところで俺は遂にその疑問を口にした。
「なぁ、何で俺の事を家まで送ってくれたんだ?なんの得もないのに」
そう言うと彼女はキョトンとした顔をして立ち止まった。
そんなに不思議そうな顔をされるほど変な事を言っただろうか。
少し思案していると彼女はあー…と頬を掻きながら視線を逸らした。
今度は俺がキョトンとした顔をする。
すると彼女は照れ臭そうな笑みを浮かべながら言った。
「一緒に帰りたかったから…です……」