Love palette




よほど診察に行きたくないようだ。


香織は昨夜の診察で一部の記憶を失くていることがわかった。

強いストレスが原因だろうと医師は言っていた。


「私は何を忘れているのかな。爽太は知ってる?私の足りない記憶」


香織の黒く透き通る瞳に見つめられ、吸い寄せられたように動けなくなった。



「さぁ?それは香織にしか分からないよ」


また、嘘を吐いた。


香織はそうだよね、とだけ言うと今度こそ看護師と病室を出て行った。


< 6 / 77 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop