Love palette
それから1ヶ月が経った。
あの人とは毎日ではないが少なくとも週に二回は同じバスに乗っている。
「…な………る?……るな!」
「っ、はあ?!ごめん、なに?」
耳元で叫ばれ素っ頓狂な声を上げながら慌てて返事をすると呆れ返った玲奈の顔が目に映った。
またやってしまった。
最近よく話の途中で私だけ別の世界へ行ってしまうことが多い。
だからこうして眉を寄せながら怒りの滲み出ている顔をされるのも慣れてしまった。
「最近ずっと上の空だよね。何か悩んでるの?」
向かい合わせにくっつけている机に頬杖をついて可愛らしく首をコテンと横に傾けた玲奈のショートボブヘアがふわっと揺れた。