Love palette
「…ううん、何でもない。ごめんね、何の話だっけ?」
「嘘だね」
慌てて笑みを繕ってみたが一つに縛った髪を振り乱しながら私にグンッと顔を近づけてきた莉緒によってそれは壊された。
「るな、あんた恋してるでしょ?」
……………………。
「「はぁっっっっっっ?!」」
なんであんたまで驚いてんの、と玲奈をどつく莉緒を視界の端に入れながら彼の顔を思い出す。
名前も顔も知らないし、私のタイプでもない。
その彼に私が恋をしてるの?
「ないな」
無意識に出ていた声に二人が振り返る。
「それはない」
そしてもう一度否定するとざわついていた胸も少し落ち着いたような気がした。