お見合いだけど、恋することからはじめよう

「あっ……すいませんっ」

あたしは突然名前を呼び捨てにして叫んでしまった非礼を詫びた。
確か彼女はやんごとなき血筋の末裔で、世が世なら華族のお姫さまだったはずだ。

「いいのよ、慣れてるから」

彼女……久城 礼子さんがパネルと同じ表情で微笑んだ。

「……おまえは、よく自分の顔をこんなにデカデカと店に貼れるな」

諒くんが呆れた顔でパネルを見た。

「あら、わたしだって、恥ずかしいわよ?
社長に言われて仕方なく、なのよ。
ショップにだってあまり来たくないのに、元カレのあなたがどうしてもって言うから」

久城さんは拗ねたような顔で言い返した。

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