お見合いだけど、恋することからはじめよう
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「とりあえず、『ななみん』は二月生まれということなので、誕生石のアメシストのものをご用意したわ。ちょうど今、お品も揃っているの」

そう言って、久城さんがベルベットのジュエリーホルダーにネックレスを並べていった。

目の前に置かれたネックレスはどれも、華奢なフォルムに品質の良さそうな宝石がキラリと輝く、優美なデザインだった。
まさに、このJubileeというブランドのコンセプト「普段使いできる上質なジュエリー」を表現していた。

通勤から休日のお出かけまで気軽に使える優れモノでありながら、ちょっと気の張ったフレンチレストランやお寿司屋さんにも堂々とつけていける品質の高さだ。それでいて、海外のブランドよりもリーズナブルなのである。
また、テレビのニュース番組に出演する女性キャスターたちにも貸し出されているため、知的で洗練された雰囲気もある。

……っていうか、ハッキリ言って、Jubileeを身につけていると「賢そうなデキる女」に見えるのだっ。

というわけで、あたしたちの年代に人気があるのだ。

「諒志はネックレスがいいって言うんだけどね。
ななみんはピアスしてるわよね?
……ピアスもあるわよ?」

へぇ、諒くんはネックレスをプレゼントしてくれるつもりだったんだ。確かに、指輪よりも受け取りやすいかも。

「あ、ネックレスの方がいいです。
ピアスだと落としちゃうかもしれないから」

そそっかしいから、よく片一方だけ落として結局使えなくしてしまうのだ。

「ふうん、よかったわね、諒志。
『ななみん』に『首輪』を受け取ってもらえそうで」

久城さんが諒くんを見て、ふふん、と笑った。

諒くんは久城さんを鋭く睨んだ。

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