お見合いだけど、恋することからはじめよう
「順番につけていきましょうか?」
久城さんに促されて、まず一つめをつける。
……あれ?
似合わないはず、だったんだけど。
腑に落ちない顔になってしまったあたしに、
「あら……お気に召さなかったかしら?」
と、久城さんの顔が曇る。
「いえっ、違うんですっ」
あたしはあわてて首を振った。
「今までは、アメシストみたいなオトナっぽいジュエリー、似合わなかったんです。なのに……」
「あぁ……それは、きっと、年齢が追いついたからでしょうね」
久城さんが、さもありなん、というふうに言う。
「だって、ななみんは童顔だけど、もうそろそろアラサーでしょ?例えば、翡翠とか珊瑚なんかはわたしたちくらいの年代にはまだまだ似合わないけれど、母親の年齢くらいの人たちには顔立ちなんて関係なく、しっくりと馴染むものなのよ」