お見合いだけど、恋することからはじめよう
諒くんがネックレスはつけていてほしい、というのでそのまま受け取った。
ケースに入れて包装しなくてもいい、という意味かと思っていたら違った。
「会社に行くときも、普段からずっとしていてほしい」とのことだった。
「さそり座の男は独占欲が半端ないって言うからね……ななみん、これから大変ね」
お店を出る間際、久城さんから耳元で囁かれた。
それから、今度はあたしから「バレンタイン」のプレゼントを、ということでメンズのフロアに降り立った。
PORTERのショップでスマホケースがあったので、それを購入した。
この前、連絡先を交換したときに見た彼のスマホにはケースがなく、剥き出しのままだったからだ。
……あたしだって。
諒くんがまだ二回しか会ってないあたしのことを忘れないように、なにか身につけるものをプレゼントしたかったんだもん。
スマホだったら、たとえ仕事中でもスーツのポケットに入って「一緒に」いてくれるだろう。
諒くんは、はにかみながらも「ありがとう」と受け取ってくれた。