お見合いだけど、恋することからはじめよう
「あ、そうだっ!Jubileeのショップに久城 礼子がいたんだよっ!!」
……そうそう、これを言わなければっ。
せっかく、あんなセレブリティとお近づきになれたんだからっ!
「えっ、久城 礼子って、ジュエリーデザイナーとして、Jubileeの広告塔もやってる人でしょ?」
姉が目を丸くする。
「背が高くて、すっごく綺麗な人でねぇ。
田中さんの学生時代のテニスサークルのメンバーだったんだってさ。だから、ショップで接客してくれるように、田中さんが頼んでおいてくれたんだよ」
あたしが彼女のことを説明すると、
「あ、そういえば……その子、田中の元カノだったんじゃなかったかなぁ?
大学のとき、すっごい美人とつき合ってたから」
姉が記憶を探るような顔つきで言う。
「……七瀬、余計なことは言わないの」
すぐさま、母から窘められる。
父の頬がぴくり、と引き攣る。