お見合いだけど、恋することからはじめよう
千夏とは大学時代からの友達だが、通った大学は違った。
中学の頃から女子校だったあたしは狭い世間を広げるため、大学の枠を超えてつくられていたイベントサークルに入り、そこで彼女と知り合った。
といっても、諒くんや久城さんたちのような幹部ではなく、あたしも千夏も「その他大勢」のメンバーだった。
千夏はMARCHの中のプロテスタント系の大学で、うちの大学もプロテスタントだが、共学と女子大とではこんなに雰囲気が違うものか、とカルチャーショックを受けたものだった。
もっとも、当時から綺麗だった彼女は赤文字系と呼ばれていた雑誌の読者モデルをやっていたから「特別」な存在ではあったんだけれども。
とにかく、いろんな大学の学生たちを集めたそのサークルは、枠を広げ過ぎてしまった結果「その他大勢」だらけになった。
すると、幹部たちによる「統制」が取れなくなり、みるみるうちに「細分化」されていった。
要するに、気の合う者たちが幹部を通さずに、それぞれでイベントを企画するようになってしまったのだ。