お見合いだけど、恋することからはじめよう
あたしは、すぐさま切ろうと【拒否】をタップしようとしたが、思い直した。
会うのは絶対にイヤだから、通話で済ませられるいいチャンスかもしれない。
小会議室での「邂逅」は一瞬の出来事だったが、自然と彼の左手薬指に目が行ってしまった。
そこにはなにもつけられてはいなかったが、だからと言って彼が既婚者でないとは言い切れない。
……目黒先輩だって、結婚指輪してなかったし。
それに、「あれ」からもう三年も経つのだ。