お見合いだけど、恋することからはじめよう
❸
赤木さんとつき合って半年ほど経った、今から三年前。
その週の月曜日のお昼休憩に、あたしは同期の法務部の友佳から、突然社食とは反対方向の人気のない資料室へ連れて行かれた。
後ろ手でばたん、とドアを閉めた友佳は、
『……ちょっと、七海』
神妙な面持ちをしていた。
……ともちんが「七海」呼びするのって、めずらしいな。
いつもは「ななみん」と呼んでいるからだ。
『武田さんと同期の、うちの部の先輩が言ってたんだけどさ……』
友佳はそこで一拍おいて、そして意を決したように告げた。
『この前の土曜日、武田さんと……赤木さん、
「お見合い」したそうだよ』