お見合いだけど、恋することからはじめよう
❹
「……ともちん、あたしのLINEを、赤木さんに売ったな?」
メトロの表参道駅へ向かう道すがら、あたしは友佳へトークで確認することなく、直でLINE通話した。友佳は残業中のはずだが、そんなことはお構いなしだ。
『ええっ、赤木さん、もうななみんにLINE送ったの!?』
通話を受けた友佳は素っ頓狂な声を上げた。
法務部を出て、スマホができるところへ移動しているのだろう。パタパタと小走りで急ぐ音がする。
『ごめん……ななみん。赤木さんが突然、うちの部にやってきてさ。もうびっくりしたわよー。
「七海に謝りたいから、どうしても教えてほしい」って言うのよ。最初はちゃんと拒否ったんだよ?だけど、すっごい粘られて……とうとう教えちゃった』
スマホの向こうの友佳は、本当に申し訳なさそうな声だった。
……まさか、イケメンに拝み倒されたから日和ったんじゃないよね!?