お見合いだけど、恋することからはじめよう

「……さぁ、誓子さん、行きましょう!」

彩乃さんが誓子さんの腕を引っ張った。

「えっ……でっ、でも……わたしっ……」

だけど、誓子さんはまだもじもじと「乙女」っている。

「誓子さんっ、この期に及んで、まだそんなこと言ってんですかっ!? グズグズしているヒマはないんですっ!ケンちゃんが帰っちゃうじゃないですかっ!!」

いつもゆったりと穏やかな彩乃さんが、そう叫んだ次の瞬間。

……誓子さんを後ろから羽交い締めにしていた。

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