お見合いだけど、恋することからはじめよう

「せっかく東京に帰ってくることができても、また前みたいに社内で居づらくなるって思ってるんだったら、大丈夫ですよ。
……過ぎたことを、蒸し返すようなことはしませんので」

プライドの高い彼のことだ。こうしてわざわざあたしを連れてきてまでして「悪かった」と言いたかったのは、友佳が言っていたように「保身」以外の何物でもないだろう。

「それに、あたしなんかに近づくと……桃子さんが気にされますよ?」

先日は月曜日だったにもかかわらず、彼女も上京してきたというではないか。
週末にかかる今日だったら、きっとまた来ているに違いない。

赤木さんがあたしと「接触」するかもしれない、と心配なんだろう。

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