お見合いだけど、恋することからはじめよう

ショットバーを出ると、赤木さんはあたしの手を引いて、すたすたと歩き始めた。

「七海、おまえがどんなに叫んでも、だれからも邪魔されない、もっと静かなところへ行くぞ」

それでなくても長身の彼とは脚の長さが違う。

あたしは知らず識らずのうちに小走りになっていた。

「……ねぇ、どこ行くのよ?」

あたしは赤木さんに話しかけるが、彼はなにも答えない。

ずんずん渋谷の奥へと進んでいくのだが、このまま行くと……

「ちょっと……?」

やはり、「あの日」の最後に行き着いた先へとたどり着いた。


そこは……ホテル街だった。

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