お見合いだけど、恋することからはじめよう
❼
「……先にシャワー浴びるか?」
スーツの上着を脱いだ赤木さんが、ネクタイをキュキュッと緩めながら、あたしに訊く。
……はぁ? なに言ってんの?
巨大なベッドの脇のカウチソファに座ったあたしは、軽蔑しきった顔で赤木さんを見上げた。
「冗談だ。そんな怖い顔するなって。
……『話ををするだけ』って約束は守るよ」
苦笑した赤木さんは、あたしの対面の一人掛けのソファに腰を下ろした。
入ったラブホの部屋は、あのときの「白雪姫」のようなメルヘンチックなタイプではなく、ブルーライトに照らされたスタイリッシュなタイプだった。