お見合いだけど、恋することからはじめよう

それから、乱れた身なりを整えたあと、カウチソファの端に置いていたスプリングコートとフルラのパイパーを手にして立ち上がる。

「……赤木さん」

あたしは改まって彼の名を呼んだ。

「あたしたちは、やっぱり……三年前に終わっているんです」

赤木さんがあたしを見る。
生気も覇気もない虚ろな目だった。


「あたし……お見合い相手の人と結婚します」

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