お見合いだけど、恋することからはじめよう
Last Chapter ☆彡 あたしの愛しい人


あのあとフロントに電話してドアを開錠してもらい(ああいうところのドアは精算を済ませないと内側からは開かないようになってるからね)、赤木さんをひとり部屋に残したまま(この時間ならどうせ宿泊料金だろうから朝までいるのかも)、意気揚々とラブホを出てきたのはいいのだが……

時刻はすでに夜中で、とうに終電は過ぎている。

足早に南下して、すぐさま円山町を「脱出」したのはいいけれども、今からタクシーで赤坂見附の家に帰れば「こんな時間まで、どこでなにしてたっ⁉︎」と親に叱られるのは必至である。

それならいっそのこと(タクシー代は倍以上かかってしまうが)友佳のアパートに泊めてもらって、明日親のいない時間帯を見計らって、こっそり帰宅する方が得策だ。(まぁ、いつも呑み会のあとでやってる「作戦(ミッション)」だけど……)

あたしは歩きながら、フルラのパイパーからスマホを取り出した。LINEのアイコンをタップして、トークを開く。

すると、【白石 友佳】よりも先に【田中 諒志】という名前の方が目に飛び込んできた。

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