お見合いだけど、恋することからはじめよう

「ななみん?……どうした?」

諒くんがちょっと屈んで、あたしの顔を覗き込む。

「なんでもないですっ」

あたしが、ぷいっ、とそっぽを向くと、

「なんだ……嫉妬か?」

諒くんが機嫌よさげな声で、あたしをふんわり抱きしめた。

……すっかりお見通しの図星、ってわけだ。

「だから、ななみん、今日はだれに見られてもいいように『婚約者』のきみを引っ張り込んだ」

……もおっ、諒くんてば、ずるいっ!

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