お見合いだけど、恋することからはじめよう

「肌身離さず着けてくれていて……うれしいよ」

背後からあたしの耳元に口を寄せて、そう(ささや)いた諒くんが、今、あたしの裸体が唯一身に着けているネックレスへと、指を這わせる。

誕生日のプレゼントとして、一緒に選んだアメシストのネックレスだ。

誓子さんがあたしのアメシストを見て、
『情熱の赤と冷静の青が混ざった『紫』が、
『真実の愛』を見抜く力をもたらすらしい』
と言っていたが、そのとおりになった。

目黒先輩のときも、赤木さんのときも、見抜かれた「真実の愛」によって、ちゃあんとあたしを諒くんに引き戻してくれた。

< 504 / 530 >

この作品をシェア

pagetop