お見合いだけど、恋することからはじめよう
「おっ、お飲み物は……?」
やっとの思いで搾り出したかのような声だ。
心なしか震える手でおしぼりをくれた。
「そうだ、ななみん。イケる口だったよな?
……なににする?とりあえず、ビール?」
ん?と諒くんが顔を寄せてくるのだが。
……近い近い近いぃっ!
あたしは思わず仰け反ったが、諒くんの手が伸びてきて肩に回され、ぐっと引き寄せられた。
すっぽりと、その腕の中に入ってしまう。
……困った人だ。うれしいけれど。
「そうだなぁ……なににしようかな?」
ここは、ビール一つとっても種類が半端なく多いみたいだ。