お見合いだけど、恋することからはじめよう
゜゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*:.。. .。.:*・゜゚
「ななみんさん……ビールをお呑みになったら、バローネ・リカーゾリも、ロングアイランド・アイスティもありますよ?」
翔くんがいたずらっ子の顔で訊く。
あたしは赤っぽいバスペールエールをごくり、と呑んだ。常温でも呑めるイギリス王室御用達のエールビールだ。フルーティーで濃厚な味わいが口の中に広がる。
下面発酵が主流の日本では、上面発酵のエールビールはめずらしく、大手メーカーではサントリーのプレミアムモルト・香るエールくらいかも。
……やっぱり、覚えてやがったな。
あたしは、ぎろり、と睨んだ。
ということは……目黒先輩との話も、赤木さんとの話も、覚えてるってことだな。
つい先刻、諒くんのスマホに通話があって、バーの外に出て行った。
もしかしたら、今夜これから会うことになっている、諒くんの「遊ぶ相手」の一人からかもしれない。
「そんな怖い顔しなくても、大丈夫っすよ。
……諒志さんには、なにも言いませんから」
……やっぱり、覚えてやがるっ!
あたしはますます翔くんを睨んだ。
「その代わり……」
翔くんは不敵にニヤッと笑った。
「ななみんさんから、どんなに頼まれようとも、
『諒志さんのこと』だって、絶対にしゃべりませんからね」
「……へっ?」
あたしは間の抜けた顔になった。
「ななみんさん……ビールをお呑みになったら、バローネ・リカーゾリも、ロングアイランド・アイスティもありますよ?」
翔くんがいたずらっ子の顔で訊く。
あたしは赤っぽいバスペールエールをごくり、と呑んだ。常温でも呑めるイギリス王室御用達のエールビールだ。フルーティーで濃厚な味わいが口の中に広がる。
下面発酵が主流の日本では、上面発酵のエールビールはめずらしく、大手メーカーではサントリーのプレミアムモルト・香るエールくらいかも。
……やっぱり、覚えてやがったな。
あたしは、ぎろり、と睨んだ。
ということは……目黒先輩との話も、赤木さんとの話も、覚えてるってことだな。
つい先刻、諒くんのスマホに通話があって、バーの外に出て行った。
もしかしたら、今夜これから会うことになっている、諒くんの「遊ぶ相手」の一人からかもしれない。
「そんな怖い顔しなくても、大丈夫っすよ。
……諒志さんには、なにも言いませんから」
……やっぱり、覚えてやがるっ!
あたしはますます翔くんを睨んだ。
「その代わり……」
翔くんは不敵にニヤッと笑った。
「ななみんさんから、どんなに頼まれようとも、
『諒志さんのこと』だって、絶対にしゃべりませんからね」
「……へっ?」
あたしは間の抜けた顔になった。