お見合いだけど、恋することからはじめよう

「……水野さん?」

その人はあたしのことを知っていた。
そして、あたしもこの人を知っている。

「おれの中高一貫校時代からの親友で、今でもしょっちゅう『遊ぶ相手』の弁護士の方だよ。
こいつは高校編入組だから、中学からじゃなくて高校からのつき合いになるけどな。
……あぁ、ななみんとは同じ会社だから、さすがに知ってるか」

諒くんの言葉にあたしは大きく肯いた。

「知ってる」もなにも……

「諒志……よりによって、おれの直属の部下に手を出すとはな」

その人……島村室長は和風イケメンの端正な顔を歪めて、重い息を吐いた。

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