お見合いだけど、恋することからはじめよう

「あの……彩乃さん、お昼休憩に聞きたくて訊けなかったことなんですが。今後の参考にしたいなぁと思って訊きますけど」

あたしは、上目遣いでおずおずと尋ねてみた。

「副社長って、海外の血が入ってるじゃないですか?……やっぱり、二人っきりのときは日本人の男性ではこっ恥ずかしくて絶対言えない、きゅん!ってさせてくれるような甘々な言葉を言ってくれるんですよね?」

「はぁ⁉︎」

彩乃さんは素っ頓狂な声を上げた。

「な…ない、ない、ないって」

目の前で手のひらを全力で振って否定している。

「彩乃、顔が真っ赤になって……それが答えになってるわよ」

誓子さんが呆れたように言った。

「いやいやいや……本当にないんですって」

それでも、彩乃さんはそう言ったけれども。


……しあわせ、なんだろうなぁ。
うらやましさでいっぱいの目で見つめてしまう。

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